特集 血栓・止血の異常を理解する―広くて深い基礎知識
[Chapter 2] 血栓・止血に関連する疾患
B.血小板が減少する血栓性疾患
溶血性尿毒症症候群
澤井 俊宏
1
1滋賀医科大学 小児科学講座
キーワード:
微小血管症性溶血性貧血
,
腸管出血性大腸菌(EHEC)
,
志賀毒素(Stx)
,
補体介在性疾患
Keyword:
微小血管症性溶血性貧血
,
腸管出血性大腸菌(EHEC)
,
志賀毒素(Stx)
,
補体介在性疾患
pp.757-761
発行日 2023年10月1日
Published Date 2023/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika132_757
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▪溶血性尿毒症症候群(HUS)は,血栓性微小血管症を呈する代表的な疾患である.
▪志賀毒素産生性大腸菌関連HUS(STEC-HUS)の原因は,O157:H7に代表される腸管出血性大腸菌(EHEC)が産生する志賀毒素(Stx)である.
▪わが国でのSTEC-HUS発症は年間70~120例で,成人と比較して小児での発症が多い.
▪EHEC感染症は少ない菌量で発症するため,潜伏期間が長い.
▪診療施設での培養検査だけでなく,地方衛生研究所や国立感染症研究所との連携が重要である.
▪STEC-HUSに特異的な治療はなく,支持療法に努めて回復を待つ.
▪非典型HUS(aHUS)は補体制御異常に関連する希少疾患であり,抗補体(C5)モノクローナル抗体が治療に有用である.
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