病気のはなし
溶血性尿毒症症候群
垣下 榮三
1
1兵庫医科大学第2内科
pp.412-419
発行日 1998年5月1日
Published Date 1998/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903399
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
新しい知見
血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)と溶血性尿毒症症候群(HUS)は病態的には類似性があり,血栓性微小血管症(TMA)と一括されることが多いが,その原因は多様で,しかも本来の病因そのものは現在なお不明である.しかし,原因のいかんにかかわらず,血漿交換療法の有効性については共通していた.その中でHUSの典型であるベロ毒素(VT)あるいは志賀毒素(Stx)によるものは病原性がかなり詳細に判明してきたが,治療的には他のものと異なり,TMAではあっても下痢の先行するHUS(D+HUS)として区別する必要がある.しかし,血管内皮細胞障害に関係する要因,内皮細胞障害の指標などが最近測定可能となっており,これらの共通する部分の利用は,D+HUSと他のものとの違いを明確にしながらTMA全体の病態を解明するうえで役だてられるものと考えられる.
Copyright © 1998, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.