特集 血栓・止血の異常を理解する―広くて深い基礎知識
[Chapter 2] 血栓・止血に関連する疾患
B.血小板が減少する血栓性疾患
血栓性血小板減少性紫斑病
齋藤 健貴
1
,
松本 雅則
2
1奈良県立医科大学 輸血部
2奈良県立医科大学 輸血部・血液内科
キーワード:
von Willebrand因子(VWF)
,
ADAMTS13
,
rituximab
,
caplacizumab
Keyword:
von Willebrand因子(VWF)
,
ADAMTS13
,
rituximab
,
caplacizumab
pp.752-755
発行日 2023年10月1日
Published Date 2023/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika132_752
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
▪血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)はvon Willebrand因子(VWF)の切断酵素ADAMTS13の活性が著減することで血小板血栓を形成する疾患で,先天性と後天性が存在する.
▪TTPに特徴的な臨床症状としては,古典的5徴候(血小板減少,溶血性貧血,腎機能障害,発熱,動揺性精神神経症状)が知られており,とくに血小板減少や溶血性貧血を呈する症例については,TTPを念頭に置いた原因検索を進めていく必要がある.
▪原因不明の血小板減少や溶血性貧血を認めた場合,ADAMTS13活性を測定して,同活性が10%未満であればTTPと診断する.抗ADAMTS13自己抗体が陽性であれば,後天性TTPと診断する.先天性TTPを疑った場合は,両親のADAMTS13活性の測定結果が参考になるが,確定診断にはADAMTS13遺伝子解析が必要である.
▪先天性TTPの治療には,新鮮凍結血漿(FFP)輸注が有効である.後天性TTPの治療としては,血漿交換とステロイド療法,rituximab療法に加え,2022年に本邦で使用可能となったcaplacizumaによる薬物療法などがある.
© Nankodo Co., Ltd., 2023