特集 好きになる呼吸器学―珠玉の症例集から
珠玉の症例集 ~印象深い症例・思い出の症例より~
[Case 14]加湿器と自宅のカビが決め手に
望月 太一
1
,
荒井 弘侑
1
1国際医療福祉大学医学部附属三田病院 呼吸器内科
キーワード:
過敏性肺炎
,
β-Dグルカン
,
KL-6
Keyword:
過敏性肺炎
,
β-Dグルカン
,
KL-6
pp.921-925
発行日 2022年11月1日
Published Date 2022/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika130_921
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過敏性肺炎は抗原の反復吸入により肺胞や細気管支にリンパ球浸潤を主体とした炎症をきたすアレルギー免疫性疾患である.「An Official ATS/JRS/ALAT Clinical Practice Guideline」(2020年),および「CHEST Guideline and Expert Panel Report」(2021年)では非線維性/線維性という分類が提唱され,原因抗原検索がより重視されている.実臨床では原因抗原の特定が重要であるが,現状は50%程度の特定に留まっており,現在本邦では商業ベースでの測定可能な抗体検査方法はELISA法による抗トリコスポロン・アサヒ抗体などに限られている.また,吸入誘発試験や環境誘発試験は診断能が高い検査であるが,一部の施設でしか施行されていないのが現状である.気管支肺胞洗浄液(bronchoalveolar lavage fluid:BALF)でのリンパ球比率も報告により幅があり1~3),COVID-19感染禍で,抗原回避試験,呼吸機能検査,気管支鏡検査などの検査施行が以前のようにできなくなっている現状には,日本呼吸器学会の「過敏性肺炎診療指針2022」4)が非常に即している.
本稿では同指針を参考に,加湿器と自宅のカビによる抗原曝露から過敏性肺炎を強く疑った2症例を提示する.
© Nankodo Co., Ltd., 2022