特集 これでわかる新生児呼吸管理2024
呼吸管理の実際:ガス
加温・加湿
山田 恭聖
1
YAMADA Yasumasa
1
1愛知医科大学病院周産期母子医療センター
pp.672-677
発行日 2024年6月10日
Published Date 2024/6/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001576
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人工呼吸管理中の加温・加湿の必要性
通常の自発呼吸では,呼気に含まれる熱と水分で上気道粘膜を加温・加湿し,吸気相で熱と水分を吸気ガスに付加する生理的な熱湿交換器(heat moisture exchanger)システムが存在する。このため肺胞に到達するときには温度37℃,絶対湿度44mg/dL,相対湿度100%の飽和水蒸気ガスが供給される。この状態であれば下気道粘膜は十分加湿されており,線毛運動も健全である。しかし壁配管からの乾燥した酸素や空気を利用する呼吸管理の場合,生理的な加温・加湿能力のある上気道を挿管チューブでバイパスするため,非常に乾燥したガスが直接肺に届くことになり,気道粘膜は乾燥し線毛運動が不十分となる。このため病原体を含む異物を排出する排痰が上手くできなくなり,呼吸器関連肺炎や慢性肺疾患の原因になってしまう。これを予防するために吸気ガスの加温・加湿が必須となる。
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