特集 エキスパートがお答えします! 日常臨床のあるあるの疑問
第9章:血液
これからHodgkinリンパ腫に対する化学療法を受けるという未婚女性患者から卵子の凍結保存の相談がありました.卵子保存は必要でしょうか?
藤井 伸治
1
1岡山大学病院 血液腫瘍内科
pp.642-644
発行日 2022年9月1日
Published Date 2022/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika130_642
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
お答えします Hodgkinリンパ腫(HL)に対する標準的な初回治療であるABVD療法(doxorubicin,bleomycin,vinblastine,dacarbazine)によって永続的な無月経となる可能性は10%くらいと考えられていますので,治療開始前の卵子保存は必ずしも必要ではありません.しかし,治療までに時間的な余裕がある場合で,患者さんが強く卵子保存を希望された場合は,卵子保存の実施を検討することは妥当です.一方,ABVD療法に加え,腹部や骨盤に局所放射線療法(IFRT)を併用する場合や,ABVD療法後に再発に対して自家末梢血幹細胞移植併用大量化学療法(HDC/AHSCT)を行う場合には,治療後の不妊リスクが高くなることの情報を提供し,卵子保存を検討することになります.
© Nankodo Co., Ltd., 2022