特集 高齢者における消化器診療
トピックス
摂食と老化
乾 明夫
1
,
宇都(鮫島) 奈々美
1
,
小林 由基
1
,
藏薗 秀伍
1
,
榊 弥香
1
1鹿児島大学大学院医歯学総合研究科漢方薬理学共同研究講座
キーワード:
高齢者
,
サルコペニア
,
悪液質
,
低栄養
,
グレリン-神経ペプチドY
Keyword:
高齢者
,
サルコペニア
,
悪液質
,
低栄養
,
グレリン-神経ペプチドY
pp.889-893
発行日 2021年10月1日
Published Date 2021/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika128_889
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Summary
▪摂食にはグレリン-神経ペプチドY(NPY)空腹系が深く関わり,健康長寿をもたらすカロリー(エネルギー)制限では増加が,また老化や体重減少病態ではその抑制がみられやすい.
▪高齢者の食欲不振・意図的でない体重減少は,炎症性疾患(悪液質:進行がん,心不全,慢性閉塞性肺疾患(COPD),腎疾患,慢性感染症など)や非炎症性疾患(飢餓,吸収障害,甲状腺機能亢進症,神経性食欲不振症,うつ病など)の鑑別が必要である.
▪高齢者の摂取不足は種々の要因で生じ,フレイル発症の引き金ともなる.蛋白質(男性60g/日,女性50g/日)やビタミンDの摂取が推奨されている.
▪日本人の食事摂取基準(厚生労働省,2020年版)は年齢・性別・身体活動量に規定され,たとえば75歳以上で身体活動レベルⅡ(自立)の場合,男性は2,100kcal/日,女性は1,650kcal/日とされる.
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