特集 意外と知られていない⁉ 自科の常識・他科の非常識
第5章:感染症
非HIV患者でのニューモシスチス肺炎に対するステロイド治療やST合剤の投与量には議論がある
谷口 順平
1
,
中島 啓
1
1亀田総合病院呼吸器内科
キーワード:
ニューモシスチス肺炎
,
非HIV
,
補助的ステロイド治療
,
ST合剤
Keyword:
ニューモシスチス肺炎
,
非HIV
,
補助的ステロイド治療
,
ST合剤
pp.530-532
発行日 2021年9月1日
Published Date 2021/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika128_530
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ニューモシスチス肺炎(Pneumocystis pneumonia:PCP)は第二次世界大戦後の欧州の未熟児および栄養不良の乳児の肺炎として最初に認識された.1960年代になって血液疾患治療中に起こるまれな日和見感染症として,専門家の間で知られる疾患となった.その後,ヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus:HIV)の出現とともに有病率が劇的に増加するようになり,専門家以外にも広く知られる疾患となった.しかし,近年ではHIVの早期発見・治療によりHIV合併症としてのHIV-PCPは減少しつつある.その一方で,近年次々と使用されるようになった免疫抑制薬の使用に伴い,非HIV患者のPCP(非HIV-PCP)は増加傾向にある.HIV-PCPと非HIV-PCPの間には臨床的に大きな違いがあり,それぞれの特徴を表1に示す.PCP治療に関するエビデンスの多くはHIV-PCPをもとに作成されており,非HIV-PCPに関するエビデンスはHIV-PCPと比較して少ないことに留意する必要がある.本稿では非HIV-PCP治療において議論のあるステロイド治療やST合剤治療に関し,歴史的背景に加え最近の報告をもとに論じる.
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