特集 肺炎診療のピットフォール—COVID-19から肺炎ミミックまで
【感染性肺炎】
❻HIV感染者の肺炎—ニューモシスチス肺炎など
青柳 有紀
1
1Internal Medicine Department, Dunedin Hospital, Dunedin School of Medicine, University of Otago
キーワード:
HIV
,
AIDS
,
肺炎
,
ニューモシスチス肺炎
,
日和見感染症
Keyword:
HIV
,
AIDS
,
肺炎
,
ニューモシスチス肺炎
,
日和見感染症
pp.180-183
発行日 2021年2月15日
Published Date 2021/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429202992
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
ピットフォールCase
患者:33歳、男性。
既往歴:クラミジア尿道炎。
現病歴:2週間前から発熱、倦怠感、乾性咳嗽、呼吸苦が出現し、徐々に増悪した。1週間前に近医を受診するも、胸部X線写真に特筆すべき異常は見られず、「かぜ」と診断されたが、“念のため”レボフロキサシンが処方されたという。3日前から労作時呼吸苦が急激に悪化し、当院救急部を受診。市中肺炎の診断で内科入院となった。性行動を含む詳細な病歴聴取の過程で、コンドームを使用しない不特定多数の女性および男性パートナーとの性交渉歴が明らかとなった。診察時、顔面の脂漏性皮膚炎と口腔粘膜に白苔を認め、聴診で肺野は清であるが、安静時94%(room air)のSpO2が軽度労作時に86%まで低下した。胸部X線写真では、両側の肺野にすりガラス陰影(図1)を認め、迅速HIV検査は陽性であった。ニューモシスチス肺炎(PCP)をターゲットとする抗菌薬治療が開始された。
Copyright © 2021, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.