特集 意外と知られていない⁉ 自科の常識・他科の非常識
第3章:血 液
vanishing tumor:ステロイドにより悪性リンパ腫・脳腫瘍性病変が一時的に消失する
沖田 典子
1
,
成田 善孝
2
1大阪大学大学院医学系研究科脳神経外科
2国立がん研究センター中央病院脳脊髄腫瘍科
キーワード:
vanishing tumor
,
中枢神経原発悪性リンパ腫
,
ステロイド
Keyword:
vanishing tumor
,
中枢神経原発悪性リンパ腫
,
ステロイド
pp.433-435
発行日 2021年9月1日
Published Date 2021/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika128_433
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MRIで造影病変を認めると悪性脳腫瘍がまず鑑別としてあげられる.これらの病変のなかには自然経過で消失や縮小するものがあり,vanishing tumorやghost tumor,burn-out tumorとよばれ,さまざまな報告がされている.中枢神経での発生頻度の報告は限られ,約1%程度と推定されている.中枢神経で認められるvanishing tumorは中枢神経原発悪性リンパ腫(primary central nervous system lymphoma:PCNSL)や多発性硬化症といった脱髄性疾患で多く報告されている.多発性硬化症を含む孤発性の腫瘤性脱髄性病変(tumefactive demyelinating lesion:TDL)は画像上腫瘍に間違えられやすく,確定診断のために生検を要することもある.vanishing tumorの病理診断では炎症細胞を認めるのみで,確定診断にいたらない場合もあり,再発時に生検を繰り返すことでPCNSLと診断されることも報告されている.本稿では悪性脳腫瘍を疑う画像所見を呈するvanishing tumorについて概説する.
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