特集 意外と知られていない⁉ 自科の常識・他科の非常識
第1章:呼吸器
nintedanibの適応拡大により,進行性線維化を伴う間質性肺疾患の治療が大きく変わる
榎本 紀之
1
1浜松医科大学内科学第2講座/保健管理センター
キーワード:
進行性線維化
,
間質性肺疾患
,
PF-ILD
,
nintedanib
Keyword:
進行性線維化
,
間質性肺疾患
,
PF-ILD
,
nintedanib
pp.348-351
発行日 2021年9月1日
Published Date 2021/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika128_348
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進行性線維化を伴う間質性肺疾患(progressive fibrosing interstitial lung disease:PF-ILD)は原疾患に対する適切な治療を継続しても進行する難治性間質性肺疾患(interstitial lung disease:ILD)の総称である.PF-ILDの代表的疾患として,最も予後不良である特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis:IPF)が知られているが,抗線維化薬であるnintedanibはIPFの進行を抑制することが証明され1),現在は実臨床において投与されている.一方で,膠原病関連の間質性肺疾患(connective tissue disease interstitial lung disease:CTD-ILD)や過敏性肺炎などIPF以外の多くのILDに対しては,今までステロイドや免疫抑制薬などの免疫抑制療法が主流であり,これらの薬剤投与下でも肺病変が進行した際の治療には有効な薬剤がなく,経験によるところが大きかった.しかし近年,IPF以外のPF-ILD症例における世界的規模の第Ⅲ相臨床試験により,nintedanibの有効性が示され(INBUILD試験)2),実臨床における治療選択も大きな変貌を遂げている.本稿では,PF-ILD症例におけるnintedanibの投与法および副反応などについて概説し,今後の予後改善のための治療選択や課題について考察する.
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