Book Review
脳神経内科医のための 末梢神経・筋疾患 診断トレーニング―「電気生理×病理×画像」を読み解く30ケース
祖父江 元
1,2
1愛知医科大学 理事長
2名古屋大学大学院医学系研究科神経変性・認知症制御研究部 特任教授
pp.90-90
発行日 2020年1月1日
Published Date 2020/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika125_90
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- 文献概要
私たちが学生・大学院生であった1970年代後半~1980年代前半の頃は,末梢神経・筋疾患の診療や研究は,臨床症状の把握,電気生理検査(筋電図,伝導検査),神経・筋生検検査などがほとんどすべてであり,治療法もビタミン剤やステロイド剤などに限られていたように思う.その後の発展を末梢神経を中心に述べてみると,私が最初に国際末梢神経研究会(現在の国際末梢神経学会(PNS)の前身)に出席したのは1978年のロンドン郊外のWyeで行われたときで,全体の出席者も50~60人,日本からの出席者は3~4人だったように思う.Thomas,Dyck,Asbury,Aguayo,Bungeなど,教科書でしか見ることのできなかった人々を目の当たりにして,大変感激したことを覚えている.現在では300人を超える会になって,日本からも数十名の参加がある会になってきている.その後,1980年代後半からは原因遺伝子が次々に発見され,さらに各種の病原的な抗体の発見や,末梢神経でいえばRanvier絞輪あるいはその周辺の機能蛋白質などの機能分子が明らかになり,病態とともに疾患単位の考え方も大きく変わってきたと思う.治療についても免疫グロブリン治療,生物製剤,あるいは核酸医薬や遺伝子治療などにも進展している.検査法としても遺伝子や抗体などとともに超音波やMRIなどが加わってきている.脳神経内科のこの30~40年の発展は,どの領域でも同様かとは思うが,本当に目を見張るものがある.
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