特集 感染症2020―冬のインフルエンザ・夏のオリンピックに備える
オリンピック時に問題となり得る感染症
結 核
森野 英里子
1
1国立国際医療研究センター病院呼吸器内科
キーワード:
結核
,
多剤耐性
,
外国出生者
Keyword:
結核
,
多剤耐性
,
外国出生者
pp.53-59
発行日 2020年1月1日
Published Date 2020/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika125_53
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Summary
▪結核は世界の三大感染症の一つであり,推定年間患者数は世界で1,000万人,死亡者数は145万人に及ぶ.
▪本邦の結核罹患率は減少傾向にあるが(2018年:10万人当たり12.3人),外国出生者の結核患者数が増加傾向にあり,全体の10.7%に及んでいる.とくに若年層で顕著である.
▪本邦では多剤耐性結核はまれであるが,国によっては高頻度にみられる.外国出生者の結核診療では,耐性結核を念頭に置いた病歴聴取,検査,治療が重要である.
▪薬剤感受性検査に基づく最適治療のため,培養陽性検体を得る努力を行う.
▪2類感染症のため,診断時には最寄りの保健所にただちに発生届を提出する.
▪来日外国人の増加に伴い,外国出生者の結核対策がより重要となっている.
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