特集 もっとうまくいく! 病診連携の「伝え方」―わかりやすく伝えるための診療情報提供書作成のコツ
第Ⅱ章 <診療科別>コンサルトのポイント
D.呼吸器科へコンサルト
4.慢性閉塞性肺疾患(治療)
小荒井 晃
1
1東北大学病院呼吸器内科(東北大学大学院医学系研究科内科病態学講座呼吸器内科学分野)
pp.554-556
発行日 2018年9月1日
Published Date 2018/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika122_554
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慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)は,タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することにより中高年に発症する肺疾患である.呼吸機能検査で気流閉塞を示し,末梢気道病変と気腫性病変が関与し気流閉塞が起こる.臨床症状としては徐々に進行する労作時の呼吸困難や慢性の咳・痰を示すが,これらの症状に乏しいこともある.COPDは気管支喘息の合併が15~20%と多く,近年ではasthma and COPD overlap(ACO)という概念が提唱されており,その診療においては喘息との鑑別や合併の評価が重要である.COPDの治療では禁煙と吸入気管支拡張薬がその中心となるが,喘息の合併が考えられる場合,吸入ステロイドの併用が必要である.また,COPDは主に感染を契機として呼吸状態の悪化や病状の進行が起こるため,その増悪の管理も重要である.増悪時に低酸素血症を伴う場合には入院治療が必要であり,病状が進行した場合には在宅酸素療法や在宅人工呼吸療法による加療も必要となる.また,身体活動性の向上および維持が生命予後にもつながることから早期からの呼吸リハビリテーションも推奨されている.
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