特集 抗菌薬選択の実際―AMR(薬剤耐性)対策は日々の診療から
感染臓器・器官と起因菌を整理し,抗菌薬治療を考える
《市中感染症》
肝胆道系感染症,腹腔内感染症
福井 由希子
1
,
上原 由紀
2
Yukiko FUKUI
1
,
Yuki UEHARA
2
1順天堂大学医学部総合診療科
2順天堂大学大学院医学研究科感染制御科学/総合診療科
キーワード:
肝胆道系感染症
,
腹腔内感染症
,
Tokyo Guidelines 2018
,
IDSAガイドライン
Keyword:
肝胆道系感染症
,
腹腔内感染症
,
Tokyo Guidelines 2018
,
IDSAガイドライン
pp.31-38
発行日 2018年7月1日
Published Date 2018/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika122_31
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Summary
▪肝胆道系感染症ならびに腹腔内感染症の経験的治療として,重症例あるいは医療関連感染では,早期から緑膿菌や腸球菌を考慮する.
▪急性胆管炎では,中等症以上で内視鏡下ドレナージが重要である.
▪急性胆囊炎では,外科的治療が基本となる.
▪胆道系感染の起因菌は,大腸菌やクレブシエラなどの腸内細菌,またバクテロイデス・フラジリスなどの嫌気性菌が多い.
▪細菌性肝膿瘍の起因菌は,感染経路(経胆道性・経門脈性・血行性)によって異なるが,約半数は経胆道性である.
▪細菌性肝膿瘍は可能な限り穿刺ドレナージが必要となるが,アメーバ性肝膿瘍であればドレナージは通常不要である.
▪腹腔内感染症は,主に消化管穿孔や虫垂炎,憩室炎からの二次性腹膜炎や膿瘍形成など,肝胆道系を除く腹腔内の感染症を指す.
▪腹腔内感染症の起因菌は大腸菌などの腸内細菌がほとんどであるが,反復例や抗菌薬投与歴がある例では腸球菌が起因菌となることもある.
▪膿瘍形成を伴う場合は,穿刺ドレナージによる感染源の適切なコントロールが必要となる.
© Nankodo Co., Ltd., 2018