特集 抗菌薬選択の実際―AMR(薬剤耐性)対策は日々の診療から
感染臓器・器官と起因菌を整理し,抗菌薬治療を考える
《市中感染症》
尿路感染症
細田 智弘
1
Tomohiro HOSODA
1
1川崎市立川崎病院感染症内科
キーワード:
腎盂腎炎
,
尿培養
,
アンチバイオグラム
,
アミノグリコシド
,
ESBL
Keyword:
腎盂腎炎
,
尿培養
,
アンチバイオグラム
,
アミノグリコシド
,
ESBL
pp.39-43
発行日 2018年7月1日
Published Date 2018/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika122_39
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
Summary
▪尿路感染症は確定診断が難しいからこそ,抗菌薬投与前に尿培養(と血液培養)検体を採取し,とくに重症例では尿グラム染色を行う.
▪医療機関における最新のアンチバイオグラム(できれば尿路感染症に限定したもの)を経験的治療薬の選択の際に参考にする.
▪ESBL産生菌が10%程度を占める地域におけるグラム陰性桿菌による腎盂腎炎の入院症例では,中等症例まではcefmetazole,重症例はamikacinの併用や,tazobactam/piperacillinを選択し,外来症例では経静脈的にアミノグリコシドを単回投与したうえで,ST合剤またはフルオロキノロンの経口投与を行う.
▪治療開始後24~48時間以内に臨床的に効果不十分な重症の腎盂腎炎では,画像検査の実施や尿培養の再検を行ったうえで,抗菌薬の変更・追加と外科的治療介入を考慮する.単に発熱が持続するのみであれば,72時間までは経過観察する.
© Nankodo Co., Ltd., 2018