まい・てくにっく
胸腺全摘時の胸腺上極処理のポイント
井上 匡美
1
,
松村 輔二
2
1京都府立医科大学呼吸器外科
2獨協医科大学埼玉医療センター呼吸器外科
pp.334-335
発行日 2018年5月1日
Published Date 2018/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kyobu71_334
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胸腺全摘術は従来から行われている胸骨縦切開と胸腔鏡下アプローチの2種類があり,筆者の場合,胸腺上極の処理はアプローチによりやや異なる.いずれの方法でも基本的には,胸腺上極も胸腺被膜でおおわれているので,できるだけこの被膜を温存しつつ頭側方向へ剝離をすすめることが確実かつ容易な剝離法となる.胸腺上極の組織内には下甲状腺動静脈が伴走していることがあり,胸腺を尾側へ牽引しながら剝離をすすめる過程で誤って離断すると,頸部組織内に断端が埋没してしまい出血の制御がむずかしくなることがあるので注意を要する.上極端の切離には絹糸による結紮やクリッピング,またはエネルギー・デバイスを用いて断端を確実に閉鎖することが肝要である.胸腔鏡下アプローチでは,術後の胸部X線像で頭側の切離レベルを確認するために,意図的にクリッピングすることもある.
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