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どんな薬?1-4)
アミバンタマブはがん細胞の増殖にかかわる2つの異なる標的分子に同時に結合するように設計された(複数標的型)抗体薬で,二重特異性抗体(bispecific antibody:BsAb)とよびます.通常,IgG抗体(免疫グロブリン抗体)は1種類の抗原に結合します.そのため,2つ以上の複数抗原に特異性をもった抗体は,人工的に作られたものということになります.
BsAbは,作用機序の観点から2つに分類できますが,2025年12月現在,日本で多く承認されているのは,T細胞などの免疫細胞と腫瘍細胞に結合するタイプのものです.このタイプの抗体薬はT細胞(CD3など)とがん細胞に発現している抗原に同時に結合することで,T細胞とがん細胞を架橋し,T細胞ががん細胞に攻撃するのを誘導する薬剤です.
一方で,アミバンタマブは,T細胞と結合するのではなく,非小細胞肺がんの細胞表面抗原であるEGFRとMETに同時に結合することで,細胞増殖シグナルの伝達を阻害します.また,アミバンタマブはIgG抗体を使用しているため,定常領域(Fc部)にNK細胞,マクロファージなどのエフェクター細胞が結合するため,抗体依存性細胞傷害(antibody-dependent cellular cytotoxicity:ADCC)作用が期待できます.
アミバンタマブの適応となっている「EGFR遺伝子エクソン20挿入変異陽性」というのは,細胞の成長・増殖を制御する受容体タンパク質をコードするEGFR遺伝子のエクソン20という領域に,ある特定の配列が挿入される遺伝子変異のことをいいます.肺がんのなかでも非小細胞肺がんにこの遺伝子変異が起こりやすく,がん細胞の増殖スイッチが入り続けます.ほかにもEGFR遺伝子変異はありますが,EGFR遺伝子エクソン20挿入変異陽性は予後不良タイプの一つとされています.
受容体チロシンキナーゼを標的としているアミバンタマブでは,EGFR阻害に伴う皮膚症状(発疹,肌乾燥,爪囲炎など)やほかの抗体薬と同様にインフュージョンリアクションや腫瘍崩壊症候群,間質性肺炎,感染症などの共通した副作用のリスクがあります.使用するBsAbの種類によって出現する副作用症状も異なるので,薬剤の特徴を十分に理解して,症状モニタリングや支持療法,患者指導を行う必要があります.

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