- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
変わりゆく時代に先立って
このたびは雑誌『がん看護』200号の発刊,こころよりお祝い申し上げます.これまでがん看護の臨床・研究・教育・情報に関する最新のテーマを常に取り上げ,治療・療養生活において最善のケアをがん患者と家族に提供したいと研鑽をする看護職に役立つ内容をご提供いただきました.読者の一人として,がん看護の教育・研究に携わる者として感謝申し上げます.
私は昭和の時代に看護婦としてキャリアをスタートし,平成・令和を横断して,がん看護の実践・教育・研究に取り組んできました.1990年代,がんは慢性疾患の一種ととらえられるようになり,がんサバイバーシップの考えかたの導入や病気とともに生きることの重要性が論じられるようになりました.一方,臨床では医療者はがん治療や症状緩和に難渋するなかで,がん患者は脆弱性が高い存在であるとみなし,本人のもつ力に着目するという思考は乏しい時代でした1).確かに脆弱な存在であることは否めませんが,患者は病気の体験において無力ではなく自身の本来の力を認識できなくなっているだけで,また,医療者も患者のもつ力に着眼できていないのではないかと,がん告知もなされない医療現場に納得がいかず,周囲の医師に苦言を発しながら働いていました.患者の力をとらえることによりがん患者への看護の新たな視点が出せるのではないかと期待し,大学院に行けば何かが得られるのではないかと進学を考えた昭和の時代が懐かしいです.この間,がん看護の実践は進歩・発展してきました.看護職は実践のなかで多様な患者や家族の苦悩に出会い,多様な価値観や異文化に触れ,患者の置かれている困難な状況をなんとかしたいと周囲の方々と協働し,実践と研究を往還させて新たなケアを創造してきました.

© Nankodo Co., Ltd., 2026

