連載 がん薬物療法看護のWhat’ Trending! Past ☞ Current ☞ Future 【2】
がんのホールマークと薬物療法の動向(Trend)を知る
菅野 かおり
1
1公益社団法人日本看護協会神戸研修センター
pp.595-600
発行日 2020年7月1日
Published Date 2020/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango25_595
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はじめに
日本では1981年から現在にいたるまで,がん(悪性新生物)が死亡原因の第1位である.国は「対がん10か年総合戦略」をはじめ,がん対策基本法の成立(2006年)などさまざまながん対策に取り組んできた.これらの対策は一定の成果を見せているが,依然としてがんによる死亡者数は多く,さらなる対応が求められている.2018年に策定された第3期がん対策推進基本計画は,①がん予防,②がん医療の充実,③がんとの共生,④これらを支える基盤の整備,が柱となっており,これらを実現するためには,まずはがんという病気の基礎知識を十分に理解しておく必要がある.その上で,治療支援実践(経験)を利用して,効果的ながん予防やがん治療を実施することが重要であると考える.
がんの研究は,2000年以降に大きな進歩を遂げている.とくに,2003年にヒトゲノムの解読が完了したことによって,がんゲノムや発がんのプロセス,増殖・浸潤・転移,がんと免疫などの特徴が解明されてきた.がんの特徴が明らかになることによってがんの治療戦略も大きく変化してきている.本稿では現在のがん治療の基盤となっているがんの特徴を振り返り,理解を深めたいと思う.
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