連載 がん薬物療法看護のWhat’s Trending! Past ☞ Current ☞ Future 【32】
免疫チェックポイント阻害薬に関連したirAE(immune-related adverse events)へのチームアプローチ ~かかりつけ医を含めたチーム医療体制の整備~
菅野 かおり
1
,
安原 加奈
2
1日本看護協会神戸研修センター
2元 独立行政法人国立病院機構大阪医療センター看護部外来化学療法室/がん化学療法看護認定看護師
pp.519-528
発行日 2025年9月1日
Published Date 2025/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango30_519
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はじめに
がん薬物療法は進行期のがん患者を対象に行われてきた.1990年以降,がん研究が積極的に行われるようになり,がん細胞の特徴や増殖,転移などにかかわる分子(タンパク質)が解明され,それらを標的にした分子標的治療薬の開発が活発になった.その結果,局所進行がんへの対象拡大や全生存期間の延長,症状緩和などの多くの利益を得ることができるようになった.しかし,依然としてがんによる死亡率は高く,治療の恩恵を受けられないがん種もあることが課題であった.そこで,次に開発されたのが免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpoint inhibitor:ICI)である.ICIは免疫療法の一つで,免疫細胞を再活性させることでがんに対する免疫応答を高める治療薬である.ICIのみで治癒を望むことはむずかしいが,多くのがん種で延命・症状緩和ができるようになってきている.
治療の選択肢が増え,患者への利益が大きい一方で,必ず付随するのが副作用の問題である.ICIは免疫の強化によって抗腫瘍効果を示すが,免疫の過剰な活性はがん以外の細胞や臓器にも影響を及ぼし,一部の患者では重篤な免疫関連有害事象(immune-related adverse events:irAE)が出現している.irAEはあらゆる臓器に影響を及ぼすため,担当の臨床腫瘍医や看護師,薬剤師だけでなく,他科の専門医あるいはかかりつけ医などとチームを組んでサポートしていく必要がある.今回は,ICIの特徴と実際に行っているirAE対策チームの活動を紹介する.

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