特集1 いま知っておきたい! がん治療薬12 ~くすりを知ればケアがよくなる~
免疫チェックポイント阻害薬におけるirAE対策
野村 久祥
1
Hisanaga NOMURA
1
1国立研究開発法人日本医療研究開発機構
pp.33-37
発行日 2020年1月1日
Published Date 2020/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango25_33
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間質性肺炎
呼吸困難,空咳,発熱などの症状があった場合は,免疫チェックポイント阻害薬による間質性肺炎を疑い,下記の薬剤性肺障害の診断フローを用いて,診断をする必要があります.呼吸器専門医と連携して,下記の肺関連有害事象の対処法アルゴリズムに沿って治療を行います.
大腸炎・重度の下痢
持続する腹痛や,下痢,排便回数の増加,血便,タール便などが認められた場合は,irAEの可能性があります.消化器専門医によるCT所見,下部消化管内視鏡検査が必要となります.irAEの診断がついた場合は,下記のフローに沿って対処します.
免疫関連胃腸障害の管理(国内)
ステロイド投与により症状が安定しない場合は,インフリキシマブ(保険適応外)の投与が必要となります.院内ので請求方法や流れについて再度確認しておきましょう.
I型糖尿病
irAEによる糖尿病は劇症I型糖尿病になる場合があります.急な倦怠感.体重減少,口渇,多飲多尿などある場合は,I型糖尿病であることを疑い,専門医に相談するようにしましょう.糖尿病性ケトアシドーシスは,死に至るケースもあるため早期発見することが大切です.
甲状腺機能障害
甲状腺機能障害は,自覚症状からはわかりにくい副作用の一つです.甲状腺機能が低下すると倦怠感や浮腫,悪寒,動作緩慢となります.逆に更新した場合は,発汗,体重減少,眼球突出などが起こります.わかりにくい副作用のため投与前と投与中など定期的な,TSH, FT3, FT4の測定が必要となります.
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