特集 高齢者機能評価(GA・CGA)を活かした高齢がん患者のケア
高齢者機能評価を知ろう!
総合的高齢者機能評価とは ~CGAの定義から各治療法への活用まで~
大路 貴子
1
Takako OOJI
1
1神戸市立医療センター西市民病院 看護部/がん化学療法看護認定看護師
pp.10-18
発行日 2025年1月1日
Published Date 2025/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango30_10
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総合的高齢者機能評価の定義
高齢者の特徴として,期待余命が短い,併存疾患を複数有する,生理的な機能低下がある,認知機能障害,社会・経済的な制限などがあり,それらの因子は個別性が大きいことが挙げられる.その多様な集団に対し,暦年齢だけで治療方針を検討するのではなく,多面的な評価を基に決定していくことが必要である.
総合的高齢者機能評価(comprehensive geriatric assessment:CGA)とは,個々の高齢者の疾患の評価だけでなく,日常生活動作機能,認知機能・情緒・意欲などの精神心理的機能,社会経済的機能ならびにQOLなどを総合的に評価し,検出された問題に対して介入を行っていくことを想定したものである1).なお,高齢者の機能評価を表すものとして,上記のCGAに加えてGA (geriatric assessment,高齢者機能評価)がある.
CGAは多面的な評価と,検出された問題点に対する介入を行うまでの経時的・総合的な評価をさすことが多い.一方,GAはスクリーニングや多面的な評価を行うことをさして老年腫瘍学領域で使用されている2).
本稿では,高齢がん患者へ包括的なスクリーニングだけでなく,安全ながん治療やQOLの維持を目指した看護介入までを視野に入れた内容となるため,主にCGAと表記し以降解説する.
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