リレーエッセイ がん看護CNS奮闘中 ~がんとともに社会で生きる患者を支えるための調整~ 【5】
第5回 地域密着型総合病院での調整①
地域と専門医療のコラボレーション,目の前の課題を立体的にとらえた支援に向けて
齊藤 太樹
1
1東京歯科大学市川総合病院 がん相談支援センター/がん看護専門看護師
pp.538-539
発行日 2024年9月1日
Published Date 2024/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango29_538
- 有料閲覧
- 文献概要
自己紹介
実は私は看護師である反面,がんサバイバーでもあります.
2回目のがんの罹患時は看護師2年目の頃でしたが,幸いにしてその後臨床に復帰した私は,まるでがん患者さんの思いやニーズを代弁できる気で日々の看護を実践していました.しかし,自身のサバイバー経験と価値観を都合よくとらえ,その感覚だけで実践につなげた結果,根拠を言語化できない自身のふがいなさを痛感する経験に直面しました.そこで,「エビデンスとサバイバーの視点を発展させた看護」を求めて大学院へ進学しました.
現在の職場には2018年の大学院卒業とともに入職しましたが,当時は横断的に活動する専門看護師(CNS)は院内におらず,「組織横断的に高度実践を展開するCNS」という役割を求められました.プレCNSでありながら組織のニーズと臨床の課題にどう向き合い,自分に何ができるのか,どんな知識や技術が必要なのか,それらを見出すことから始まった新たな門出でした.
2020年からは患者支援センター内にあるがん相談支援センターへ異動し,現在は患者さんやご家族からの相談や医療者からの相談を契機に,がん看護専門看護師(OCNS)として6つの役割を展開しています.
© Nankodo Co., Ltd., 2024