特集 骨転移患者への看護のモヤモヤ,すっきりさせましょう!
知って,すっきり! 骨転移の病態と治療の実際
リハビリテーションはここまでできる! 骨転移のある患者に対するリハビリテーションのアプローチ
安部 能成
1
Kazunari ABE
1
1穂波の郷クリニック/作業療法士
pp.501-506
発行日 2024年9月1日
Published Date 2024/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango29_501
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はじめに
骨転移のある患者が当面,困っている問題は,痛みがあるために動くことができず,日常生活動作(activities of daily living:ADL)の低下が著しくなり,結果的に人生の満足感(quality of life:QOL)も下がってしまう事態であろう1).
WHO方式がん疼痛治療法2)では,疼痛治療の目標として三段階を示している.第一段階は苦痛のために睡眠を妨げられないこと,第二段階は覚醒しても体動しなければ精神活動を妨げられないこと,そして,第三段階は体動しても苦痛のためにADLを妨げられないことである.ここではこの第三段階を中心に,医学的リハビリテーション(以下,リハビリ)をふまえた介入について述べる.
第三段階の具体例として臨床場面で散見されるのは,患者がトイレに行きたい場面である.大部分はレスキュー薬での対応がなされているようだが,薬物の効果はすぐには現れないので,結局,トイレには間に合わないことがある.トイレに行けたとしても,その後ベッドに戻って安静にしているとレスキュー薬の効果が薄れるまでの間はオーバードーズとなり,その有害事象が強く現れる.このような問題があるので,体動時痛に対して薬物を適応するのは効果的とはいえず,少なくとも安眠確保や安静時痛への対応のような効果は期待できない.
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