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わが国では2006年にがん対策基本法が制定され,2023年には第4期がん対策推進基本計画が策定されました.がん医療をとりまく情勢は想像以上のスピードで変貌しています.患者のおかれている状況も変化し,患者・家族のニーズも多様化し,求められるがん看護は変わっていきます.しかし,がん看護には,本質的には変わらないものと,今患者に求められているもの,未来に向かって創っていかなければならないものがあります.このような時代,がん看護に携わる看護師,とくに初学者ががん看護実践の中核となる基本的な考え方や知識・技術,本質的に変わらないものを修得することは質の高い看護実践において重要であると考えます.
そこで,本企画では,がん看護に関心をもった初心者から中堅の看護師が知っておく必要のある考え方・知識・技術,すなわち,がん看護実践の基盤となるもの,スタンダードながん看護を実践するうえで理解しておく必要のある項目について,日本がん看護学会から出されているがん看護コアカリキュラム(https://jscn.or.jp/core/doc/core_2016e.pdf)を参考に検討しました.コアカリキュラムは,【A.がんの理解に必要な基礎知識】,【B.がん看護の基盤となる考え方】,【C.がん看護実践の基本】[1.がん患者と家族の理解,2.がん看護実践の基本概念と方法,3.がん治療・療養過程に焦点を当てた看護実践]の3領域に分類されています.本誌の第27巻4号では【A.がんの理解に必要な基礎知識】,第28巻3号では【B.がん看護の基盤となる考え方】に含まれるコアとなるがん看護の重要なキーワードについて特集しました.
今回はシリーズ第3弾として,がん看護実践が根拠に基づいて成り立つ根本で,がん看護を実践する看護師として,基本的に獲得する必要のある内容として位置づけられている【C.がん看護実践の基本】の[1.がん患者と家族の理解][2.がん看護実践の基本概念と方法]に含まれる重要なキーワードについて取り上げています.
がん患者と家族やがん看護実践の基本概念と方法を理解することによって看護実践がどのように広がり,深まるのか,そして実践の枠組みや羅針盤となる専門的知識を活用すると看護ケアの質がどのように高まるのかなどをひも解き,がん看護実践の基盤づくり,ケアの質向上に活かされることを期待しています.
本特集が,がん看護の現場で活躍される皆さまのケア向上に役立つものとなれば幸いです.
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