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わが国では2006年にがん対策基本法が制定されてから現在まで全国的にがん医療・がん看護の質向上をめざして,国や自治体,学会,医療機関・教育機関,民間機関などによる多種多様なテーマのがん医療・看護に関連する学習の機会が提供されてきました.そのような状況にあっても,がん看護に携わる看護師,とくに初学者に必要ながん看護実践の基盤となる考え方や標準的な知識や技術とは? 研修などで取り扱う教育内容の範囲は? 学んだことをどのように実践に活用して学習と経験を統合した質の高い看護実践能力とすることができるのか? といった問いを多くの方がもち続けているのではないでしょうか.
そこで,本企画では,がん看護に関心をもった初心者から中堅の看護師が知っておく必要のある考え方・知識・技術,すなわち,がん看護実践の基盤となるもの,スタンダードながん看護を実践するうえで理解しておく必要のある項目について,日本がん看護学会から出されているがん看護コアカリキュラム(http://jscn.or.jp/core/doc/core_2016e.pdf)を参考に検討しました.コアカリキュラムは,【A.がんの理解に必要な基礎知識】,【B.がん看護の基盤となる考え方】,【C.がん看護実践の基本】[1.がん患者と家族の理解,2.がん看護実践の基本概念と方法,3.がん治療・療養過程に焦点を当てた看護実践]の3領域に分類されています.本誌の第27巻4号(2022年5-6月号)では【A.がんの理解に必要な基礎知識】に含まれるコアとなるがん看護の重要なキーワードについて特集しました.
今回はシリーズ第2弾として,がん看護を実践する看護師の資質や能力として備えておくことが必要である【B.がん看護の基盤となる考え方】に位置づけられている「がん患者とQOL」「がん医療と看護倫理」「がん患者とコミュニケーション」の中のコアとなる重要なキーワードについて取り上げます.がん患者の理解やケアに基盤となる考え方がどのように位置づいているのか,基盤となる考え方を理解することによって看護実践がどのように広がり,深まるのか,そして基盤となる考え方を用いると看護ケアの質がどのように高まるのかなどをひも解き,がん看護実践の基盤づくり,ケアの質向上に活かすことを意識して企画しました.
本特集ががん看護の現場で活躍される皆様のケア向上に役立つものとなれば幸いです.
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