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2023年3月,第4期のがん対策推進基本計画がスタートしました.そこでは「がんとの共生」が柱の1つに挙げられ,ライフステージに応じた,小児・AYA世代および高齢者への支援が必要であるといわれています.この「がんとの共生」という目標は,地域共生社会のなかで,すべてのがん患者およびその家族等の療養生活の質の向上を目指すものです.
この背景には,患者を含む家族にさまざまな問題・課題が発生している現実があります.具体的には,①医療の進歩また超高齢社会に伴う「がんの最終末期まで続けられるがん薬物療法」や「認知症高齢者の代理意思決定」などの医療倫理的問題,②多様化する現代家族への対応の困難さ,③多職種協働の推進に伴う家族対応に関するコンフリクト(葛藤,
以上の問題意識を受け,本特集タイトルを「がん医療における『家族ケアの課題』~困難事例への解決アプローチ~」とし,家族の課題を3つの大きなテーマに分けました.1つ目はライフサイクル別のがん患者と家族の問題へのアプローチで,ここでは,小児とAYA世代,そして認知症高齢者の家族の課題を取り上げました.また2つ目として,がんにおけるACP(患者・家族の意思決定支援)を取り上げました.ここでは医療倫理的問題を含めています.さらに3つ目に,より具体的な家族の問題を取り上げ,解決に向けた具体的アプローチ方法を,家族看護モデルなどを使いながら紹介しました.
なお,本特集を担当する執筆者は,家族看護の専門家である「家族支援専門看護師」と「がん看護専門看護師」の実践家たちです.がん患者の「家族の課題」をリアルに紹介し,解決に向けたアプローチを具体的に解説していきたいと思います.
本特集をとおして,患者・家族の課題解決が図られ,「がんとの共生」があたり前となる地域共生社会の実現を目指します.
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