連載 がん ~家族の肖像~ 第6回
家族看護の解決志向型アプローチ ~家族メンバー間の相互作用のアセスメント~
柳原 清子
1
Kiyoko YANAGIHARA
1
1金沢大学保健学系 がん看護/家族看護
pp.383-387
発行日 2019年5月1日
Published Date 2019/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango24_383
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この連載は第6回であるが,読者より「第1回の内容にあったような,家族メンバー間の「かばう」と「頼る」のような相互関係や,医療者と家族間の「要求する」と「避ける」のような関係は,どの情報からアセスメントされ,こうした関係性はどのように活用されるのか?」との質問が届いた.
がん臨床において家族の存在は,患者にとっては〈情緒的に支えてくれる人,手段的に世話をしてくれる人〉として,つまり二人称的な親密さをもつ重要他者である.一方医療者にとっては〈患者とともに意思決定に参画する人々,時に代理意思決定する人々〉として,社会的役割を果たすことを期待する.
したがって,(将来予測も含めて)患者と家族の関係性と経済面を含めた社会生活が安定し,意思決定もスムーズであれば,改めて看護師が家族間調整を考え,患者・家族支援を行う必要はない.しかし現実は,患者のがん発病や病状の進行で家族が状況的危機に陥ったり,患者と家族の意向のズレ(喧嘩)がそのまま臨床にもち込まれて意思決定が阻まれたり,家族内の発達危機ががん患者の療養に影響を与えたり,と家族看護の課題は山積みである.
こうしたなかで看護師は,家族と医師などの医療専門職者間の調整や,家族内の関係性の調整,また集団としての家族の力を引き出すかかわりが不可欠となる.本稿では,こうしたかかわりのベースとなる,家族看護の解決志向型のアセスメント方法を紹介し,また関連する概念を解説したいと思う.
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