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脳梗塞を併発するがん患者への薬物療法 ~トルソー症候群の理解とがん薬物療法を受ける際の注意点~
菅野 かおり
1
,
武田 芽衣
2
1公益社団法人 日本看護協会 神戸研修センター
2岡山赤十字病院看護部/がん化学療法看護認定看護師
pp.782-788
発行日 2023年11月1日
Published Date 2023/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango28_782
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はじめに
がんとは,遺伝子の変異によってできた細胞が制御されない増殖を繰り返し,浸潤・転移を起こす病気の一群のことをいう.がん患者の多くは年齢50歳以上であり,複数の既往症や主要臓器機能の低下,認知機能の低下などの特徴がある.また,がん薬物療法を受ける患者は進行がんであることが多く,治療による副作用だけでなくがん自体に関係する合併症を併発することがある.
そもそも合併症とは,ある病気が原因となって起こる別の病気のことをいう.がんが原因となって起こる代表的な合併症には心タンポナーデ,上大静脈症候群,脳機能障害,出血,血栓塞栓症などがある.いずれも,生命危機に直結する病気であるため,早期発見と対応が重要である.また,こういった合併症をもった患者ががん治療を受ける場合は,身体機能障害への支援などが重要になってくる.
本稿では,がんによって主要血管や心臓などに血栓を発症して起こるトルソー症候群について解説し,トルソー症候群を合併しながらがん薬物療法を受けている患者の支援についての症例を報告する.
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