特集 化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN) ~しびれに悩む患者に,なにができるか~
Ⅰ.CIPNとは
CIPNの機序
満間 綾子
1
Ayako MITSUMA
1
1名古屋大学医学部附属病院 化学療法部
pp.533-536
発行日 2023年7月1日
Published Date 2023/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango28_533
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CIPNとは
がん薬物療法では,微小管阻害薬や白金系抗がん薬などが,副作用として四肢末端のしびれや痛みなどの症状を呈する末梢神経障害(chemotherapy-induced peripheral neuropathy:CIPN)を誘発する1).日常生活動作(ADL)や生活の質(QOL)の低下をきたし,抗がん薬の減量や休薬,中止を余儀なくさせることもある.その結果,治療効果に影響を及ぼす可能性があり,がん薬物療法の継続にあたり,CIPNへの適切な対応が求められる.
CIPNの初期症状は自覚症状であり,医療者は気がつかないことがある.また,自覚があっても,初めはがまんができたり,治療の中断を不安に思ったりして,患者自身がCIPNの症状を医療者に話さない場合もある.CIPNの症状は,がまんをしても回復しないこと,有効な予防や治療薬はないことからCIPNをきたしやすい抗がん薬を使用する際には,患者一人ひとりの症状や気持ちに配慮した診療を心がける.
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