特集 化学療法誘発性末梢神経障害(CIPN) ~しびれに悩む患者に,なにができるか~
Ⅰ.CIPNとは
CIPNに対する治療 ~薬物療法~
伊與田 友和
1
Tomokazu IYODA
1
1公立大学法人福島県立医科大学附属病院 薬剤部,臨床腫瘍センター,がんゲノム医療診療部/がん薬物療法認定薬剤師,外来がん治療認定薬剤師
pp.537-540
発行日 2023年7月1日
Published Date 2023/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango28_537
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CIPNが発現しやすい抗がん薬
薬剤性の末梢神経障害(chemotherapy induced peripheral neuropathy:CIPN)の原因となる抗がん薬は,病理組織学的に神経細胞体障害を引き起こす白金製剤,軸索障害を引き起こすタキサン系製剤やビンクリスチンなどのビンカアルカロイド系製剤,ブレンツキシマブ ベドチンなどのような分子標的治療薬のなかでも抗体-薬物複合体(antibody-drug conjugate:ADC)製剤など,多数存在する.
各薬剤の添付文書の副作用の項に「末梢神経障害」または「ニューロパチー」の記載がある薬剤の一例を挙げる(表1).
また,ニボルマブなど免疫チェックポイント阻害薬は直接神経を障害しないが,結果的に免疫システムが自己の末梢神経を障害する免疫関連有害事象にも注意を要する.国内で使用できる免疫チェックポイント阻害薬の一覧は表2のとおりである.
なお,アミオダロン,イソニアジド,インターフェロン,アトルバスタチンなどのHMG-CoA還元酵素阻害薬,タクロリムス,フェニトインなどでも薬剤性神経障害を引き起こす可能性があり1),治療開始前に既往や前治療,併用薬剤などを把握しておくことは,CIPNのマネジメント上重要である.
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