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排便マネジメントにお困りの皆さんに朗報です.
今,便秘治療に地殻変動が起こっていること,実感されていますか?
本号企画者も緩和ケア医になって20年,酸化マグネシウムなどの浸透圧性下剤と刺激性下剤で便秘と闘ってきました.患者さんからは「痛みより便秘のほうがつらいからオピオイドは増量しないで欲しい」といった声が聞かれ,頻繁な浣腸や摘便などの処置が必要となると「お尻が痛いです.出血しています」といった悲痛な声も少なくありませんでした.
ところが2017年に使用できるようになったリナクロチド,ナルデメジンを使い始めたところ,看護師から「私たち,浣腸の毎日でしたが,新しい便秘治療薬が使われるようになって浣腸の頻度が減りました」といった喜びの声を聞くようになりました.2018年にはポリエチレングリコールとエロビキシバットが使えるようになり,さらに排便マネジメントが容易になってきたことを実感しています.排便マネジメントが大きく改善されることで,患者の医療者への信頼感が増すということをよく体験します.そんなとき,「便秘がそれほど苦痛だったのだな」と改めて気づかされます.
新規便秘治療薬は,新しい作用機序をもっていますので,うまく使いこなすことで患者のQOLアップにつながることは間違いありません.一方,薬剤の選択方法については定まってはいない部分も多く,これから知見を蓄積していく必要があります.本特集では,あくまでも現段階での排便マネジメントについて共有し,今,苦しんでいる患者さんの助けになることを目指します.
がん看護に携わる者であれば,必ず出会うのが便秘の患者さんです.
本特集では,排便マネジメントの地殻変動を余すところなく実感し,日々の看護にお役立ていただければ嬉しく思います.
© Nankodo Co., Ltd., 2023