特集 “便秘”最新の治療とアセスメント ~ケア向上のためのエッセンス~
排便メカニズムと便秘 ~アセスメントに必要な基礎知識~
渋谷 仁
1
Hitoshi SHIBUYA
1
1埼玉県立がんセンター緩和ケア科
pp.5-10
発行日 2023年1月1日
Published Date 2023/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango28_5
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はじめに
便秘は初期には自覚症状が乏しく,重度になって腹部の痛みや張り,排便困難や排便時の痛みなどが生じないと患者は便秘の存在に気づきにくい.一方で,患者が便秘について医療者に訴えても便秘は過小評価されやすく,患者の治療満足度が低い症候とされる.便秘を他覚的に評価する検査は限られているため,医療者には潜在する便秘の拾い上げと,適切な対応が求められる.
排便は複数の臓器がかかわる生理現象であり,食物の内容だけでなく,環境や心身の状態に大きく影響される.さらに,がん患者では抗がん治療の内容によっても大きく状況が変化する.そのため,繰り返し状況を評価して対応を変える必要がある.そのためには,まず正常時の便の生成と排便のメカニズムを理解し,便秘の成因を把握することが必要となる.
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