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2019年からがん看護実践に励むナースを支援する企画として,がん看護専門看護師(OCNS)の活動を言語化して紹介するリレーエッセイの連載が始まり,本企画は4期目を迎えます.この間にもOCNSの人数は着実に増加し,2021年5月時点でOCNSは937名となりました.専門看護師制度が発足してから25年以上経ち,OCNSもがん医療の進歩や社会背景の変化の過程で経験を積む中で,がん医療を担う病院や施設のみならず,在宅や教育,またOCNSとしての専門的能力を活かし,企業など独自の活動スタイルを構築するなど,その活動の場を広げています.一方で,がん医療の診療報酬に関連して,自分のサブスペシャリティーとは異なる部署に配属されるなど,組織の方針によって活動の場が制限されたり,一つの施設に複数のOCNSが存在し役割が重なるなど,OCNSが増え社会に認知されてきたからこその新たな活動における課題も見受けられるようになったと思います.
個々がOCNSとして役割発揮するには,専門的ながん看護の技術や知識に加え,組織におけるOCNSに求められる役割を理解し,組織や地域の風土や人間関係に配慮した戦略,現状の分析を踏まえた活動,高度なコミュニケーションを通し,患者や家族,協働する医療者に役立つリソースと認められる必要があります.
そこで本連載では,「病棟部門」「外来部門」「組織横断的部門」「管理」「教育」「地域」のそれぞれの活動の場で,自分なりのOCNS像に基づいて活動の場を築いているOCNSの,そこに至るまでの困難や課題の克服方法,活動の広げ方,活動結果の見せ方,協働する管理者やスタッフへの働きかけ方の工夫などを含む役割開発のプロセスをリレーエッセイで伝えていただきます.
この連載を通して,OCNSとしての自己が目指す在り方が揺らいだり,組織から期待される役割と自己のOCNSとしてのアイデンティティとのギャップに悩みながら活動されているOCNSの皆様の活動の参考になれば幸いです.また,OCNSの役割や活動についてOCNSおよびがん看護に携わる読者が共に理解を深めることで,お互いの協働がより促進され,がん看護の質の向上の一助になることを期待しています.
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