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がん看護専門看護師(以下OCNS)の活動を紹介するリレーエッセイの連載が始まり,今年度で6期目を迎えました.この企画は,OCNSの活動を言語化し紹介することで,若手の看護師がOCNSを目指す契機となることや,OCNSとして働き方に悩みがある方の活動の示唆を得る機会となることを意図しています.
専門看護師制度の開始から28年目を迎え,現在登録されているOCNSの数は,1,054名になります(2022年12月現在).わが国では「2025年問題」といわれる「超高齢化社会」を目前に控えるなか,世界的な新型コロナウイルス感染症拡大により,社会情勢は大きく変化しています.がん治療では,免疫チェックポイント阻害薬やがんゲノム医療の普及により,進行がんであっても,高齢者であっても,より長期に治療の継続ができる状況に変化しています.また,緩和ケアの対象疾患の拡大により,慢性疾患や認知症を抱えるがん患者への適切な看護が求められています.このような社会情勢や医療の変化のなかで,OCNSは,所属施設の特性をふまえて院内外の保健医療福祉と協同し,「調整」の役割を遂行していると推察しています.
そこで今年は,所属施設の特性や地域などが異なる6名のOCNSの方々に,それぞれの所属施設の特性をふまえ,がんとともに地域社会で生きる患者を支えるための「調整」に関する奮闘記を書いていただくことにしました.所属施設や立場などの違いにより,活動のしかたなどが異なると考えられますが,さまざまな立ち位置での工夫を共有したいと思っています.
とくに,工夫したときの「相談者や協力者の選定とアプローチ方法」「調整」が円滑に行えない場合に『自分を支える出来事』などをご紹介いただきたいと考えました.今回のリレーエッセイを読んだ方々に向けて,「自分にもできるかも」「みんな,悩んだり困ったりしているなかで工夫しているんだ」と感じられるような内容をご紹介いただきたいと思います.
各所属施設の特性や所属施設での立ち位置において,他のOCNSがその役割を遂行している姿を知ることで,若手のOCNSの皆さまにはこれからどのように役割遂行していくかを考える一助となり,「調整」を苦手に感じているOCNSの皆さまには,明日からの糧になることを期待しています.また,がん看護に携わる読者の皆さまが,OCNSの活動に理解が深まることで多職種協働が促進されることや,個々人のキャリアを考えるヒントになることを願っています.
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