特別寄稿
「もう楽にしてくれ」という余命数週間の患者に対して治療継続をあきらめきれない息子たち
松本 好美
1
Yoshimi MATSUMOTO
1
1群馬県立がんセンターがん相談支援センター/がん看護専門看護師
pp.627-629
発行日 2021年9月1日
Published Date 2021/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango26_627
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事例紹介
患者は胃がんの再発で入院している70代後半の男性である.妻には先立たれて30代後半の次男と二人暮らしをしている.40代前半の長男は市内で家庭をもっている.
患者が入院して3週間ほど経ったころ,長男と次男が二人でがん相談支援センターに来室した.「ここ相談させてもらえるんですよね」といいながら椅子に座った.相談員である看護師が対応した.長男から,父が現在内科の病棟に入院している.腹水が溜まって苦しんでいるが全身状態が不良で腹腔穿刺をしてもらえないこと,そうこうしているうちに体力はますます落ちてしまうのではないかと心配していることが語られた.
看護師は,患者の病状の悪化への不安があるのだろうと思い,話を聴き始めた.
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