連載 とらうべ
自分をあきらめないで
嶋中 典子
1
1厚生省看護研修研究センター助産婦養成所教員専攻
pp.263
発行日 1994年4月25日
Published Date 1994/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900992
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施設勤務12年目の春。「このままじゃいけない。なんとかしなくちゃ!」何かにせきたてられ,焦りのようなものが私の中で爆発した。ずーっと以前からくすぶり続けていた思いに,もう気づかないふりができなくなっていた。病院ではベテランと呼ばれ,各パートのリーダーをこなし,三交替勤務の合間に学生や後輩の指導にあたる。「指導の『シ』の字」も知らないくせに,何の疑問も抱かなくなっていた。そんな自分が急に怖くなって,初心に帰るべく厚生省看護研修研究センターの門を叩いたのが,ちょうど去年の今頃のことだった。
ここ厚生省看護研修研究センターには,日本各地から看護教員を目指した新進気鋭が大勢集う。私たち助産婦養成所教員専攻20人の出身地も北海道から九州までとその地域が広い。広い分だけ,たくさんの見識を得る機会に恵まれた。何しろ「目から鱗(うろこ)が落ちる」毎日だった。きっと皆の鱗を集めたら大きな魚が簡単にできあがるだろう。それほどまでに衝撃的な体験の連続だった。
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