第25回日本糖尿病教育・看護学会学術集会報告 教育講演2
糖尿病患者や家族の語りを大切にその人らしさを支えるケア 不条理な苦しみと向き合うこと〜あなたが人生をあきらめても,人生はあなたをあきらめてはいない〜
小澤 竹俊
1
Taketoshi Ozawa
1
1めぐみ在宅クリニック
1Megumi Zaitaku Clinic
pp.61-65
発行日 2021年3月31日
Published Date 2021/3/31
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はじめに
日本で一番苦しむ人のために仕事をしたいと願い,医師を志して40年が経つ.大学を卒業後は,医療過疎地で働くことを夢見て東北の地に赴いた.その後,一番苦しむのは,いのちの限られた人たちであると確信し,ホスピス・緩和ケアの世界で働くようになり27年目を迎える.
どれほど心を込めて誠実に関わり,最善を尽くしたとしても,すべての病気を治すことはできない.ホスピス・緩和ケアで学んだことは,単に痛みを和らげることだけではなく,たとえ解決できない理不尽な苦しみを抱えた人であっても,穏やかな表情で,人生最期の日まで療養する援助である.
この数年間こだわって活動してきたことは,この援助を提供できる担い手を全国各地で育てることである.ホスピス・緩和ケアで学んだ対人援助のエッセンスは,いのちの限られた人だけではなく,様々な合併症を伴う糖尿病患者やその家族の支援につながる.その援助の可能性を紹介したい.
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