とびら
笑顔をあきらめない
萩原 章由
1
1横浜市立脳卒中・神経脊椎センターリハビリテーション部
pp.119
発行日 2019年2月15日
Published Date 2019/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551201443
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表題は日本理学療法士協会が掲げるスローガンです.そして私が掲げている目標でもあります.「笑顔をあきらめない」を意識し始めたのは,私が勤める市立病院の存続が危ぶまれた頃でした.病院のあり方を決める会議では売却を視野に入れた議論まで聞こえてきました.ある経済誌の「頼れる病院,消える病院」という特集で,多額の税金を入れても赤字が続く自治体病院として,繰り入れランキングで不名誉な第1位にランクされました.臨床現場で働く職員もその事態をよく理解し,私自身も不安を感じていました.
そのような状況のなかで,私は現場で働く職員の士気が下がること,さらに,そのことが患者さんにも悪影響を与えてしまうのではないかと危惧しました.私は職場内では中堅職員として経営面も考えつつ,何よりも患者さんに迷惑をかけないよう,最善の回復をしてもらいたい,職員には理学療法士としての気持ちが折れないでほしいと考えた結果,臨床現場では「笑顔をあきらめない」ように率先して取り組むことを個人目標にしました.その後,存続が決まった要因の1つとして,市民の皆さんからの声が大きかったようです.毎年実施している入院患者さんを対象とした満足度調査の結果は,満足度が高く,必要とされている病院であることからもそれはわかりました.私たち職員の臨床での姿勢や真摯な態度が救ってくれたのではないかと考えています.私一人が勝手に心配や危惧をしていたのかもしれませんし,私個人の取り組みが功を奏したかはわかりませんが,あらためて日々の臨床の真摯な取り組みが大事だと気づかされました.病院経営に関してはまだまだ解決していませんが…….
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