特集 放射線療法 ~知ればケアが楽しくなる~
がんの痛みに対する放射線療法とIVR
藤野 絹代
1
Kinuyo FUJINO
1
1聖マリアンナ医科大学病院画像・放射線治療センター
pp.510-513
発行日 2021年7月1日
Published Date 2021/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango26_510
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はじめに
がん性疼痛は,がん自体(腫瘍の浸潤や増大,転移など)が直接の原因となる痛み,がん治療に伴って生じる痛み(術後痛や術後の慢性疼痛,化学療法による神経障害に伴う疼痛など),がんに関連した痛み(長期臥床に伴う腰痛,リンパ浮腫,褥瘡など),がん患者に併発したがんに関連しない疾患による痛み(変形性脊椎症,片頭痛など)の4種類に分類される1).疼痛コントロールは,日常生活動作(activities of daily living:ADL)や生活の質(quality of life:QOL)への影響だけではなく,精神的にも影響を与えてしまう.骨転移は,がんの転移による病的骨折や脊髄圧迫などの症状を引き起こすため,進行がんの初期は大半が無症状だが,持続する疼痛や安静時疼痛の出現には注意が必要である.疼痛に対しては,鎮痛薬と鎮痛補助薬などを使用する薬物療法,ほかに,荷重部の骨折などに対する整形外科的治療,放射線療法,神経根ブロック,画像下治療(interventional radiology:IVR)といった非薬物療法による治療を検討していく.常に患者・家族の話を聞き,そのときの病状にもっとも合った治療法を選択し,場合によっては併用や切り替えるなど柔軟な対応が必要である.ここでは,骨転移に対する放射線療法とIVRについて紹介をする.
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