特集 放射線療法 ~知ればケアが楽しくなる~
晩期有害事象を知る
田中 陽子
1
Yoko TANAKA
1
1がん・感染症センター東京都立駒込病院看護部/がん放射線療法看護認定看護師
pp.505-509
発行日 2021年7月1日
Published Date 2021/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango26_505
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放射線療法における晩期有害事象とは
晩期有害事象は急性有害事象が軽快し,2~数ヵ月の潜伏期を経てから出現する1).晩期有害事象は,放射線による幹細胞の減少,細胞の供給不足による実質細胞障害と持続する血管透過性によって生じる血管障害に関連した慢性虚血による組織障害の進行がある.脳壊死,放射線脊髄症,萎縮膀胱,関節拘瘤はこうした血管・結合織の変化に起因するものである(図1).
急性期有害事象は照射終了後~2ヵ月で回復するのに対し,晩期有害事象はすべての患者に生じるわけではないが,発症すると不可逆的あるいは進行性の変化で,回復がむずかしく患者のquality of life (QOL)に影響を与え,致命的な状態になる場合がある.
© Nankodo Co., Ltd., 2021