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がん医療においては多職種チーム医療の実践が重視され,看護師を育成するうえでは,ケアの責任者として役割遂行する力,医師やほかの医療スタッフと協働する力の育成に主眼を置いた教育プログラムが展開されています.
新人と呼ばれる1年目看護師には,基本的なケアマニュアルに従って助言を得ながら看護実践できることが到達目標として掲げられ,一人前と呼ばれる5年目看護師には,ケアの受け手に合う個別的な看護の提供と,患者の状態をアセスメントし医学的根拠に基づいて報告・行動できるリーダー看護師としての役割遂行,後輩への技術支援が期待されています.
病院内における看護の実情を見ると,在院日数の短縮化に伴って業務は繁雑化し,新人が一人前と呼ぶにふさわしい看護師に成長する過程においては,看護技術を学ぶ場・機会をつくることが非常に困難な状況となっています.詳しく言うならば,業務量の過多により教える側の先輩看護師も余裕がなく,後輩看護師へ看護を提供するうえで,なにを観察すべきなのか,それはどうしてか,観察したことがなにを意味するのか,どんな危険が予測されるのか,ゆえにどうしたのか,その結果どうだったのかなど,患者状態のアセスメントおよび自らの技術を言語化し伝える,互いに確認し合い,高め合う機会をもちにくい状況とも言えます.また,働き方改革により教育のための時間拘束ができないこともあります.
そこで,本特集では,一人前と期待されている5年目看護師に向けて,看護技術の根拠となる最新の知識を提供し,ケアの受け手の特徴をとらえて個別的なケアを提供する際の“コツ”と呼べる看護技術を解説しました.この3つの看護技術はがんと診断された患者さんの「治療を支える」「生活を支える」という視点で必要不可欠なものです.
日々技術の向上に励む若手看護師のステップアップを支援する機会になることはもちろんのこと,そして彼らを指導する先輩看護師の助けとなることを期待したいと考えています.
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