特集 児童精神医学の現状と将来—都立梅ケ丘病院30周年記念シンポジウムから
特集にあたって
藤原 豪
1
1東京都立梅ケ丘病院
pp.798
発行日 1983年8月15日
Published Date 1983/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203621
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東京都立梅ケ丘病院は戦前は斉藤茂吉先生が院長をしておられた青山脳病院がその前身であることを知る人は少い。現在の世田谷区松原の地に病舎が建てられたのが大正15年で凡そ58年前のことである。昭和20年第2次大戦の戦火は世田谷の田園地帯にも及び適当な疎開先の見当らぬまま東京都へ移管されたのである。しかし移管後間もない昭和20年5月25日夜米軍の空襲をうけ一病棟を残して大部分を焼失してしまったのである。焼跡の整理も出来ぬうちに終戦を迎えたが当時の松沢病院長内村祐之教授の英断により日本で最初の「児童精神病院」として発足することが決った。実際に子どもの患者が入院しはじめたのが昭和23年春のことである。初代村松常雄,二代林暲,三代斉藤西洋の分院長達により新しい病棟が次々建てられ整備が進められた。そして昭和27年11月1日付を以て松沢病院から独立して都立梅ケ丘病院となったのである。
今回この独立30周年を記念して「児童精神医学の現状と将来」という講演会を行った(昭和57年11月6日,東京医歯大講堂)。この特集は当日シンポジウム形式で行われた講演を編集したものである。「現状と将来」という大きなテーマを限られた時間でまとめることは困難なのでまず精神遅滞,自閉症,思春期,非行の四本柱をたてた。各演者には夫々専門の立場から経験を中心に話を進めて,各柱毎に指定討論を行い別の立場から光をあてて内容を深めるよう配慮した。終了後予測はしていたが余りに問題が広範にわたり十分まとめ切れなかったことが反省された。編集に当ってこれら不足を補うよう心掛けたつもりである。
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