特集 選択的性ステロイドホルモン受容体修飾薬
特集にあたって
水沼 英樹
1
1福島県立医科大学ふくしま子ども・女性医療支援センター長
pp.10-10
発行日 2016年3月1日
Published Date 2016/3/1
DOI https://doi.org/10.34449/J0015.23.01_0010-0010
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性ステロイドホルモンがその生理作用を発現するためには,核内に存在する核内受容体に結合する必要がある。リガンドと結合した核内受容体は,その3次元構造を微妙に変化させ,核内に存在するさまざまな共役因子と結合することでDNAの転写促進あるいは抑制が可能となる。性ステロイドホルモン受容体修飾薬とは,この核内受容体に結合しその3次元構造に微妙な変化を与えることで,性ステロイドホルモンが本来もつ生理効果を組織特異的に促進あるいは抑制できる化学物質と定義される薬剤である。性ステロイドホルモン受容体修飾薬の開発は,抗エストロゲン作用をもつ化学物質の発見の歴史のなかにその起源をみる。すなわち,乳癌などのエストロゲン依存性腫瘍に対し,抗エストロゲン作用をもつ薬剤を用いて治療しようとする。いわゆるchemopreventionの発想がそれである。
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