特集1 看護師だからこそできる“寄り添い”のかたち ~エキスパートの実践に学ぶ~
治療をあきらめたくないと訴える患者の希望をつなぐ寄り添いのかたち ~生きる希望を支える支援~
中山 祐紀子
1
Yukiko NAKAYAMA
1
1医療法人社団杏順会越川病院看護部/がん看護専門看護師
pp.291-294
発行日 2021年5月1日
Published Date 2021/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango26_291
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“寄り添い”のエッセンス
・気がかりへのチューニング ・価値観の承認 ・希望を支える伴走船
緩和ケアは,がんの診断時から行う身体的・精神的苦痛等を和らげるケアであり,がんの診断時から終末期および遺族ケアまで適応できる範囲は広い.しかし「がん治療はこれ以上できないので,緩和ケアに移行する」と告げられた患者は「緩和ケアはなにも治療をしないところ」「緩和ケア=終末期ケア」としてとらえることがある.その結果がん治療中心の生活から,今をよりよく生きることに意識が向けられず,非現実的な治療に執着し,それが唯一の希望になってしまうことがある.
ここでは,がん終末期にある「がん治療をあきらめたくない」と訴える患者とのかかわりから,患者の真の希望を見出したと思われる事例を示し「寄り添いのかたち」について考えてみたい.
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