特集 がん患者に寄り添うコミュニケーション ~事例で学ぶ患者とのかかわりかた~
Ⅱ.コミュニケーションの実際 ~事例編~
はじめに
川名 典子
1
1杏林大学大学院保健学研究科精神看護分野,元杏林大学医学部付属病院/精神看護専門看護師
pp.105-105
発行日 2021年2月15日
Published Date 2021/2/15
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango26_105
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第Ⅱ章では,コミュニケーションの実際例をみていく.
事例はSIGがん精神看護のメンバーが,自分で体験した患者との会話と,会話していたときの看護師の気持ち・考えを率直に記述したものである.事例提供者はたまたまCNSやCNが多いが,どのような臨床看護師も経験するような,看護師として共有できる場面だと思われる.前章の理論を知ったうえで読むと,納得できるものもあるだろうし,そうでないものもあろう.なぜなら,これらは理想的な会話ではなく,生身の看護師と患者のかかわりを記述した大変貴重な生データだからである.
この貴重な事例ごとに,ごく短いスーパービジョンを付けてある.スーパービジョンは,会話の良しあしの評価や理論的な解説ではなく,患者と看護師の言葉のキャッチボールを丹念に追い,第三者が両者の間に起きていることを読み解いていくものである.これによって看護師は自分の会話の特徴や癖を振り返ることができるので,コミュニケーションの練習には欠かせない方法のひとつである.
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