特集 泌尿器切除標本の取り扱い方
特集によせて
秋元 成太
1
1日本医科大学泌尿器科
pp.355
発行日 2000年5月20日
Published Date 2000/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902974
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泌尿器科は,切除標本を取り扱うという点においては,ほかの外科領域に比べて多種多様であるので,取り扱い方に戸惑うことが少なくない。これまでにも,標本を取り扱う上でのマニュアル的なガイドブックはあったが,泌尿器科医が理解し,確実かつ迅速に取り扱うために参照するには不十分なものが多かったように思われる。
今回の特集でも取り上げたように,一口に"標本"といっても,術中迅速組織診断のための切除標本,電顕標本のための切除標本,組織の凍結保存など,その目的は多岐にわたっている。泌尿器科領域では,腫瘍切除標本を取り扱うことが最も多いと思われるが,最近は遺伝子を対象とした標本採取も行われるようになってきている。特に,免疫組織化学,in situ hybridizationを目的に標本作製を試みるときには,組織の保持がしっかりとなされ,かつ抗原やmRNAを検出できるように努めることが重要である。また,電顕標本の作製は透過型電子顕微鏡試料作製が主ではあるが,研究目的のための標本作製には走査型電子顕微鏡,電子顕微鏡組織化学,酵素組織化学,免疫電子顕微鏡などの知識も必要となる。
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