乳癌カレントトピックス
がん領域におけるePRO electronic Patient Reported Outcome(ePRO)in Oncology
山口 拓洋
1
1東北大学大学院医学系研究科医学統計学分野
pp.52-55
発行日 2020年5月30日
Published Date 2020/5/30
DOI https://doi.org/10.34449/J0096.06.01_0052-0055
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近年,治療法開発の臨床試験や日常臨床において,医療者によるアウトカム評価だけではなく患者自身による主観的評価,すなわち patient-reported outcome(PRO)の重要性が特に認識されてきている。このPROは「患者の回答について,臨床医や他の誰の解釈も介さず,患者から直接得られる患者の健康状態に関するすべての報告である」と定義されている。がん領域で例を挙げれば,従来から有害事象評価にはNCI-CTCAEが用いられてきた。しかし,この医療者報告による有害事象は,患者自身による報告と比して過小評価する傾向にあることが問題視されてきたことから,そのPRO版であるPRO-CTCAEは今後重要な役割を果たすことが期待される。PROの収集方法として,従来は紙媒体を利用することが多かったが,近年では電子的に収集する,いわゆる,ePRO(electronic PRO)が利用されるようになった。紙媒体と比して,ePROは原データの信頼性,品質,トレーサビリティ等を容易に確保することができ,今後は本邦でもePROが多く用いられることが予想される。本稿ではePROについて概説する。
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