巻頭言
電子カルテの活用法
野村 雅則
1
1藤田保健衛生大学坂文種報德會病院循環器内科
pp.241
発行日 2010年3月15日
Published Date 2010/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101443
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医療の現場での電子情報といえば最も身近なものが電子カルテである.これまで医療情報は医学研究,医療事務など限定された特定の部門で活用されてきた.しかし,電子カルテが医療の現場に導入されてからは,多くの情報が一度に病院全体で共有されることになった.それまでコンピュータのキーに触れる機会の少なかった医師,看護師など,多くの医療スタッフが,自身でコンピュータを操作しないと事が進まなくなった.どの医療機関でも電子カルテの導入にあたってはかなりの抵抗があったと聞いている.しかし,カルテの電子化は時代の流れとして逆らえず,それならば少しでも使いやすくといろいろ皆で工夫をし,知恵を出し合って次第に使えるものになってきた.
その功罪について考えてみると,まず大きな利点は,誰が悪戦苦闘して記入しようとも,結果的には読みやすいカルテになることである.入力に際してはほとんどの医療スタッフが,必要な事項の記入漏れがないよう,また,入力の手間,時間を少しでも省けるよう,既成の,あるいは自身で作成したテンプレートを用いている.カルテ記入のスタイルは各人各様ではあるが,結果としての見やすく,分かりやすい情報の共有という点で電子カルテに勝るものはない.
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